【回答】技術士第一次試験_専門科目_金属部門_令和元年度_Ⅲ-8

分類:金属材料(最密六方構造)

問題:
金属の最密六方構造に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
① 単位胞中の原子数は4個である。
② 最近接原子数は12個である。
③ 最密充填原子面の積み重ねはABABABである。
④ 原子を剛体球と仮定し、格子定数をa、原子半径をrとすれば、a=2rである。
⑤ 原子を剛体球と仮定したとき、単位格子中の原子の充填率は約74%である。

正解:1

解説:
①:×
 最密六方構造の六角柱で表現されるが、単位格子(最小単位)はその縦に三等分した菱形柱である。単位格子には、角度120°割球(1/6割球)が4個、角度60°割球(1/12割球)が4個、半球が2個存在しているので、1/12×4+1/6×4+1/2×2=2となる。従って、単位格子中の原子数は「2個」である。

②:◯
 六角柱の底面は、1つの原子の周りに6個の原子が存在する。また、底面の上方及び下方の1/2高さの位置にそれぞれ3個の原子が存在する。よって、最近接原子数は、6+3+3=12で「12個」となる。

③:◯
 六角柱の底面をA、1/2高さの面をBとした場合、最密充填原子面の積み重ねはA→B→A→B…となる。従って、「ABABAB」である。

④:◯
 格子定数(最近接原子間距離)は、最近接の原子同士の半径の和であり、「a=2r」である。

⑤:◯

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