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金属部門の令和4年度技術士第一次試験問題〔専門科目〕を解きます。
全35問中の2問目です。
問題
高炉(溶鉱炉)製銑プロセスに関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
選択肢
- 高炉は竪型炉の一種で、主原料である塊成鉱(塊鉱、焼結鉱、ペレットなど)と媒溶剤である石灰石を混合した鉱石類と、還元剤であり熱源でもあるコークスを炉頂部より層状に装入する。
- 高炉では、炉床部羽口より熱風を吹き込む。このため羽口先は高炉内で最も温度の高い部分となる。
- 装入された鉱石類は上方より次第に乾燥、加熱、還元、脱炭を受け溶銑の形で炉床部に溜まる。
- 鉱石中の脈石成分は媒溶剤と反応して溶融スラグとなって炉床部に溜まる。
- 高炉の炉頂から排出されるガス(高炉ガス)は25〜30vol%のCOを含むため、回収して燃料として使用される。
解答
- 正答(最も不適切なもの):3
- 原料や燃料などの装入物を上から入れて炉の底部から銑鉄やスラグを排出する炉のことをシャフト炉(竪型炉/縦型炉)といい、高炉はシャフト炉(竪型炉)の一種です。
- 熱風炉で生成された空気が炉床部の羽口から炉内に吹き込まれます。羽口付近が最も高温となり炉頂部に向けて温度は低くなります。
- 鉱石類は焼結炉(コークスの場合はコークス炉)で事前処理された状態で炉頂部から装入されます。すなわち、すでに乾燥した状態で装入される為、「次第に乾燥、・・・を受け」の「乾燥」が間違っています。装入後、高炉内で加熱、還元、脱炭されて溶銑として炉床部に溜まります。
- 鉄鉱石中のシリカやアルミナなどの不純物(脈石成分)は、溶融スラグとして炉床部に溜まり、出銑と同時に排出されます。
- 高炉ガスはCOやCO2を含み、回収されて燃料として使用されます。
この問題は、鉄鋼材料の製造方法に関する問題でした。
選択科目としては「金属材料・生産システム」に分類されると思います。