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選択科目「金属加工」の内容は、「鋳造、鍛造、塑性加工、溶接接合、熱処理、表面硬化、粉末焼結、微細加工その他の金属加工に関する事項」と規定されています。
今回、選択科目の専門知識の一分野である鋳造の学習として、平成19年度Ⅰ-1-1の問題を解きます。
連続鋳造法の原理、特徴、技術課題などについて述べよ。
1.連続鋳造法の原理
連続鋳造は、溶湯中の介在物除去、凝固組織の改良および金属の半製品の連続的な製造を目的とする。
まず、溶湯をタンディッシュで保温しながら滞留させて、比重差で介在物を浮上除去する。清浄度の上がった溶湯をタンディッシュ下部から不活性ガスで保護された鋳型に鋳湯する。溶湯は鋳型で冷却されて凝固し、半製品形状となって鋳型底部から引き出される。
また、鋳型内で溶湯攪拌と冷却速度の制御をすることで、組織の粗大化を防ぎ、内部割れの原因となる低融点化合物の中心偏析や表面割れの原因となる粒界偏析を防ぐ。さらに、外部加圧と冷却速度の制御により凝固収縮に伴う内部引け巣の発生を防止する。
2.連続鋳造法の特徴
金属の一般的な鋳造法と比較して、連続鋳造は均一で引け巣のない組織が得られ、介在物の混入を大幅に低減できる。また、冷却速度が速いため組織の粗大化を防げる。さらに、溶湯からインゴットを作らずに直接半製品形状にできるため、再溶解を必要とせず生産性が高い。
3.連続鋳造法の技術課題
鋼中のPやSのように固相線と液相線が大きく離れて粒界偏析を生じる元素を添加する材料や高炭素鋼のように冷却時に硬くなり易い材料は、表面割れが生じ易いため連続鋳造が難しいといった課題がある。
現行第二次試験の金属加工【選択科目Ⅱ】のⅡ-1で問われる「選択科目についての専門知識」の学習の参考になればと思います。