技術士第二次試験の金属部門の必須科目及び選択科目について、出題意図と問題構成をおさらいします。
まず、必須科目の出題意図、問題構成及び問題内容です。
技術士第二次試験実施大綱に、必須科目の出題意図が示されており、「当該技術部門全般にわたる専門知識、応用能力、問題解決能力及び課題遂行能力に関するもの」が問われます。
必須科目(必須科目Ⅰ)は、2問題(Ⅰ-1、Ⅰ-2)のうち1問題を選択して答案用紙3枚(1,800字以内)で回答します。
ちなみに答案用紙は、A4縦置き・横書きの片面で600字詰め(横24文字×縦25行)です。
問題構成は2問題とも同じで、(1)から(4)の小問で構成されており、各小問で問われる切り口も共通しています。
- 小問(1)
小問(1)は、出題内容に対して金属材料の技術者の立場で、多面的に複数(3つ)の課題を抽出して各課題の内容を説明することが求められています。
この「多面的に」というところで、「金属部門」全般の専門知識が問われていると考えられ、可能な限り、3つの選択科目(金属材料・生産システム、表面技術、金属加工)それぞれの切り口で課題を抽出した方が良いと考えます。
- 小問(2)
小問(2)は、小問(1)で抽出した課題のうち、最も重要と考える課題を1つ挙げて、その課題に対する複数の解決策を説明することが求められており、ここで応用能力が問われていると考えられます。
ここからは、自分の得意とする選択科目に関する課題を「最も重要と考える課題」として挙げて、解決策を説明するのが良いと考えます。
- 小問(3)
小問(3)は、小問(2)で説明した解決策を実施した場合に新たに生じるリスクとそのリスクに対する対策を説明することが求められており、ここで問題解決能力が問われていると考えられます。
ここでは、小問(2)の解決策を実施した際の課題や背反事項をリスクとして捉えて、そのリスクに対する解決策を説明するのが良いと考えます。
- 小問(4)
小問(4)は、小問(1)から小問(3)を業務として遂行する際、技術者倫理と社会持続可能性の観点から必要となる要件と留意点を説明することが求められており、ここで課題遂行能力が問われていると考えられます。
技術者倫理の切り口として技術士倫理綱領が参考になると思います。前文+基本綱領の構成になっており、基本綱領として以下の以下の10項目を挙げています。
- 技術士倫理の基本綱領
1. 安全・健康・福利の優先
2. 持続可能な社会の実現
3. 信用の保持
4. 有能性の重視
5. 真実性の確保
6. 公正かつ誠実な履行
7. 秘密情報の保護
8. 法令等の遵守
9. 相互の尊重
10. 継続研鑽と人材育成
次に、選択科目の出題意図、問題構成及び問題内容です。
技術士第二次試験実施大綱に、選択科目の出題意図が示されており、「当該選択科目についての専門知識及び応用能力に関するもの、並びに問題解決能力及び課題遂行能力に関するもの」が問われます。
選択科目は、2つの大問(選択科目Ⅱ-1/-2、選択科目Ⅲ)から構成されおり、金属材料・生産システム、表面処理、金属加工のいずれの分野も共通です。
Ⅱ-1は、4設問(Ⅱ-1-1、Ⅱ-1-2、Ⅱ-1-3、Ⅱ-1-4)のうち1設問を選択して答案用紙1枚(600字以内)で回答します。
この問題で、選択科目の専門知識が問われていると考えます。
Ⅱ-2は、2設問(Ⅱ-2-1、Ⅱ-2-2)のうち1設問を選択して答案用紙2枚(1,200字以内)で回答します。
問題構成は2問題とも同じで、(1)から(3)の小問で構成されており、各小問で問われる切り口は、一部を除きほぼ共通しています。
この問題で、選択科目の主に課題遂行能力が問われていると考えます。
- 小問(1)
小問(1)は、調査・検討すべき事項とその内容を説明することが求められています。
- 小問(2)
小問(2)は、手順や項目を整理して、留意点や工夫点について述べることが求められています。
- 小問(3)
小問(3)は、業務を効率的、効果的に進めるための関係者との調整方策について述べることが求められています。
2問題(Ⅲ-1、Ⅲ-2)のうち1問題を選択して答案用紙3枚(1,800字以内)で回答します。
問題構成は2問題とも同じで、(1)から(3)の小問で構成されており、各小問で問われる切り口も共通しています。
更に、この切り口は、必須科目の(1)から(3)の小問の切り口とほぼ共通しています。
- 小問(1)
小問(1)は、出題内容に対して(金属材料の)技術者の立場で、多面的に複数(3つ)の課題を抽出して各課題の内容を説明することが求められています。
この「多面的に」というところで、選択科目に関する広い専門知識が問われていると考えられます。
- 小問(2)
小問(2)は、小問(1)で抽出した課題のうち、最も重要と考える課題を1つ挙げて、その課題に対する複数の解決策を説明することが求められており、ここで応用能力が問われていると考えられます。
ここでは、自分の専門とする選択科目の中でも特に得意とする技術に関する課題を「最も重要と考える課題」として挙げて、解決策を説明するのが良いと考えます。
- 小問(3)
小問(3)は、小問(2)で説明した解決策を実施した場合に新たに生じるリスクとそのリスクに対する対策を説明することが求められており、ここで問題解決能力が問われていると考えられます。
ここでは、小問(2)の解決策を実施した際の課題や背反事項をリスクとして捉えて、そのリスクに対する解決策を説明するのが良いと考えます。